私が今住んでいる家には システムキッチンがついている。30年以上前の家屋なのでシステムキッチンもとても古くてコンロはガスだ。ガスレンジのオーブンもあるが 私自身が使わないのでもっぱら鍋置きになっている。
なかなか頑丈なキッチンで食器乾燥機までついているし、冬には足元から温風が出るようにスイッチが付いている。
きっと当時は先端のシステムキッチンだったのではないかと思う。
このキッチンで食事を作り始めて6年以上になるが、
引っ越してしてきて間もない頃。とても感動したことがある。
シンクの生ゴミ受けカゴを取り出して 何気に洗っているうちに、金属のハリガネでできたカゴがとても丈夫で
その作りの確かさに気が付いて一瞬手を止めてじっと見つめてしまった。
このカゴは今まで私が住んでいた横浜の介護マンションのゴミカゴとは全く違う作りだった。
カゴの底が抜けるようになっていて洗う時に隅々まで綺麗にできるようになっていた。
誰が作ったのかしら、
誰かが手で作ったとしか思えなかった。
胴体と底蓋は機械で作って 細かい取り付けは手作業だと思えた。
きっとこのシステムキッチンの会社の技術部門の人が入念にアイデアを出してカゴの底が抜けるように工夫してまた元に戻せるように作ったのだろう。
キッチンでゴミを取り出してからそのカゴを洗う時に底辺の隅々まで綺麗に洗えるのだ。
腕のいい職人が生ゴミのカゴの底が抜けるように工夫してその操作を針金一本で作っている。
ハワイで5年間暮らしていてゴミカゴの大雑把な作りに慣れていた私は
30年以上も前に確かな技術と精密さを反映させて作られたゴミカゴに感動して胸が熱くなったのを覚えている。
日本の職人技術の高さ。たかが生ゴミカゴ されど生ゴミカゴ。
人間としての良きもの、誠意や創意工夫や誇りや気概が、作り手の愛情がそのゴミカゴから伝わってきた。
きっと30年以上使われて一度も壊れていないのだと思う。
思わず 流し台下のドアについているメーカのロゴを見つめてしまった。
National ! そうか!松下電器か。
写真は最近の愛読書。この本の中に書かれていることはとても腑に落ちます。